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呼吸のエクササイズ②

歌手および吹奏楽器奏者の方々は、日頃、ブレスに悩むことも多いはず。
バロックの作品などを演奏していれば、長いメリスマや技巧的なフレーズで息が足りなくなると恰好悪いですよね。
長いブレスを作るためのエクササイズは、いろいろあります。

以前ご紹介した呼吸のエクササイズはこちら

ただ、歌の場合は特に、ただ長く息を吸ったり吐いたりできればよいというわけではなく、長いフレーズは、声を支える筋力の持久力のほうが大事なことも多いですよね。
呼吸のエクササイズ①でご紹介したのは、どちらかといえば肺によりたくさんの空気を入れられるようになるためのエクササイズで、肋骨や背中の筋肉などしっかり使ってスペースを広げることで、エネルギー源である空気の量は少しずつ増やせます(肋骨も一本一本に筋肉がついていますから、鍛えればこれを動かして肺を大きく広げることもできます)。
ただ、空気がまだ肺に残っているのに、苦しくて歌いきれないとか、まだ空気が残っているのに歌声を支えきれないような場合は、声を支えるための別の筋肉がまだ十分に鍛えられていないからかもしれません。

肺にたまる空気はいわばガソリン。それが切れれば車は走れなくなりますが、まだガソリンが残ってるのに歌えなくなるような場合には、車の構造をもう一度見直して最後の1滴まできちんと使える状態にする必要があります。



このビデオでご紹介しているのは、そういった歌声を支えるインナーマッスルを鍛えるエクササイズの一つです。
歌には、固く引き締まった筋肉よりも、柔軟で長く動かせる筋力のほうが必要です。
ダイエットではないので、目的は筋肉に負荷をかけることではなく、より長い時間自由にコントロールできるようになること。
繊細な音楽表現を最後の最後までコントロールできる持久力と細やかさのある筋力を作るエクササイズは、通常のダイエット用の腹筋運動などではつけられませんので、今回紹介しているものは、数少ない歌手用の専用エクササイズかもしれません。

やり方は簡単

ーリラックスして息を吐ききったら、たっぷり吸う
ー息を一滴も外に吐かずに、お腹の筋力で肺にぎゅっと押し上げるようにして閉じ込める
ー息を吐かずに続けてもう一度吸う
ー同じく一切息を吐かずに、筋力で今入れた空気を肺に押し上げるようにして圧縮する
ー息を吐かずにさらにもう一度吸う
ー息を吐かずに肺に押し上げ、さらに、みぞおち部分(左右の肋骨の真ん中のへこんだ部分)に向かって全筋力を集中させてギューーっと息を圧縮
ーそのまま息を肺にためたまま、お腹の筋肉を上から下まで波のように動かす(脱力とみぞおちに向けた筋肉の緊張状態をゆっくり何度も繰り返す)


お腹を波打たせるとき、早すぎても乱暴になるだけでよくありませんから、マッサージするように、しっかり確実にゆっくりと、大きく筋肉を動かしていきます。
また、あくまでも柔軟性とコントロールの効いた状態を長く保つことが大事なので、力をたくさん加える必要はなく(もちろんたくさん力がある人は使って構いませんが、それが目的ではない)、みぞおちにギュッと集中させるとき以外はできるだけリラックスして行えるとベストですね。

歌声を支えるには、身体のもっと下側の筋力、腰回りや背中といった筋肉も同時に使っていく必要がありますので、そこはまた別のエクササイズがありますが、このお腹の真ん中を鍛えるエクササイズは、声を支える胴体を形作る手助けをしてくれます。
声の支えに問題を感じていたり、長いフレーズをいつもぎりぎりで歌いきれないような方には、おすすめの練習ですので、ぜひ一度お試しください♪
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歌のための良い姿勢づくり

歌手にとって身体は楽器。どんな姿勢で立っているかは、まさしく、正しく楽器を組み立てられているかどうかということなので、とても重要です。
でも、「正しい姿勢で立ってください」と言われて、すぐにそれができる人はどのくらいいるでしょうか?
日常生活でも、まっすぐ立っていることって、あまりなかったりしますよね。
ダンスをやっていらっしゃる方や、モデルの経験がある方などは、おそらく自分の姿勢に敏感でしょうが、大多数の人が日常、何かしらの癖をもって何となく直立しているのでは?
歌手は、ダンサーやモデルと同じように、自分の身体を常に自分でチェックして、メンテナンスすると同時に、毎朝、良いコンディションに組み立てなおせなければなりません。
この、組み立てる作業に、とても簡単で有効なエクササイズがありますので、本日はそれをビデオでお伝えしようと思います。



フランスには歌手のためのエクササイズが本当に星の数ほどあって、それぞれの先生が常に新しい方法を開拓したり、ほかの人から学んで取り入れたりしているのですが、一般的に身体が小さいアジア系の歌手が豊かな歌声を作り支えるには、無駄のない姿勢をとり、より柔軟で総合的な筋肉の使い方をすることが絶対に必要です。

今回ご紹介するエクササイズは、①爪先立ち②腕の上げ下げ③前屈とそこから戻る行程、という3つのポイントから構成されており、自分自身の体重をしっかりと足で支えること、肋骨が自然に開いた歌に理想的な状態を作ること、上半身が下半身とよいバランスで繋がれ背筋が正しいポジションで乗っかることを、エクササイズをする本人が自分で体感し確認できる内容です。
そこからどんなふうにブレスをし、どんなふうに声を出すかは、また別のエクササイズで学んでいく必要がありますが、姿勢が正しくないと、持っている声の響きを最大限に活かせなくなりますので、私は毎朝、練習前に必ずこのエクササイズを一度行い、寝ている間に歪んだ姿勢を修正してから歌うようにしています。

エクササイズの詳細はビデオでご確認いただきたいのですが、

ーまずリラックスして腰幅に足を開いた楽な姿勢で通常の呼吸をする
ー息を吸いながら両腕を上にあげ、踵を地面から持ち上げる
ーかかとをあげたまま1度呼吸し、次の吐く息で両腕を大きく円を描くように体の横を通って下におろす
ーかかとを上げて腕を下げたポーズで1度呼吸
ー次に吐く息で踵をおろし、そのままゆっくりと吐きながら前屈
ー楽に前屈したまま数回呼吸
ー吸う息とともにゆっくり、足腰のポジションを変えずに上半身を丁寧に積み上げるように直立まで戻す

というステップです。
エクササイズを始める前と、前屈から戻った時とで身体の中のバランスや、地面から頭までの自分の重さの感じ方などが変わっていれば、エクササイズがうまくいっている証拠です。

歌手の身体は一つの楽器。とはいえ楽器とは違い人間の身体は毎日のコンディションで大きく変化していくもの。
ぜひこうしたエクササイズを利用して、上手にコンディションの揺れをコントロールしていきたいですね。

フランスのソルフェージュ

久しぶりのブログ更新です。
本日はフランスのソルフェージュについて書こうと思います。
プライベートでばたばたしておりましたが、たまたまフランスへの音楽留学についての相談を受けたこともあって、こちらでのソルフェージュがどんな感じかまとめる機会がありましたので、共有しておこうと思います。

ソルフェージュ嫌いは、日仏問わずたくさんいます。
音楽を演奏するのが好きでも、ソルフェージュや聴音は受験勉強の延長でどうも好きになれないという人も多いのでは?
私はソルフェージュが好き&ソルフェージュ力こそプロの音楽家として最も必要な要素だと思っています。

さて、そんなソルフェージュ好きの私は、どうしてもフランスのソルフェージュ教育がどんなものか見たくて、昨年は別にとらなくてもよいソルフェージュのDEMというディプロムをとってしまったり、別に買わなくてよいさらに上級者向けのソルフェージュ教材を大量に買い込んだり、別に聞かなくてよいCNSM(フランスで一番難しい学校と考えてほぼ間違いない)のソルフェージュの授業がどんなものか卒業者に事細かに尋ねたりしていました。

フランスのソルフェージュ(Formation musicaleという)は日本のそれとは多少違います。
日本だと、例えば音大の受験に必要なソルフェージュを一般的に考えると、単声か2声の旋律調音と4声和声調音などがあり、私がいた学校は入試に和声判別というものがありました。これはならされる和音を聴いて、音をとる必要はないけれど長3和音、とか減3和音、といった和音の種類を答えていきます。
さらにリズム試奏(私が受けた学校は2声でした)があって、さらに伴奏つきの旋律を歌う初見視唱、コールユーブンゲンのアカペラ歌唱、あとは専攻楽器ごとに所見視奏があったような。
入学後の試験でピアノ科は定期的に移調奏やハ音記号初見、スコアリーディング(オーケストラスコアを見てピアノで演奏する)などがあったはずです。

フランスは、書き取りの調音は全体的に苦手な生徒が多い印象がありますが、初見は複合的な課題でしょっちゅうさせています。そして何よりも大きな違いは、既存の音楽作品を課題として使うことが多いこと。
日本ではなるべく誰も知らない旋律を書き取らせたり、歌わせたりしますが、フランスでは、さまざまな既存曲(中世の多声音楽から現代作品まで)を使って勉強します。初見も、なので場合によって知っている曲であることもあります。

実際にどんなことをするのか、例えばですが、一例として、中規模のコンセルヴァトワールのFormation musicaleの最終学年(ディプロム取得)の授業で行われるテストの内容です。


ハ音記号(アルト記号だけでなくソプラノ記号など全種類まざっている)を含む楽譜の初見
ー複数の音部記号×5声のスコアを渡されて、下から順に小節頭の音を言っていく・・・古楽作品の楽譜が使われることが多いですね
ー複数の音部記号が無秩序に交代する単旋律のメロディーを初見視唱する・・・これは全くの新曲の場合がほとんどかと思います
ーところどころに蛍光ペンでマークがついてるオーケストラスコアを渡され、録音CDに合わせて色が付いているところの音名を歌うないしは言う(マークされてる楽器が変わり移調楽器の場合は移調後の音で歌います)・・・マーラーの交響曲やリヒャルト・シュトラウスの交響詩などの断片が使われました

初見視唱
ー32部音符などあらゆる音価とリズムを含んだメロディーを歌う(歌唱不可能な音域の場合はオクターブを変えて歌うかただ音の名前をリズム通りに言うだけでOK)・・・バッハの器楽作品の緩徐楽章やベートーヴェンの緩徐楽章の装飾のついたメロデイやコンチェルトのカデンツァ、現代作品などが使われます
ー小節ごとに拍子が変わる、あるいは5連符や7連符等を含む現代作品のメロディーを歌うあるいは音名をリズム通りに言う・・・バルトーク以降21世紀までの現代作品が課題になります
ー完全無調の音の羅列を歌う・・・これは先生が無調になるよう用意した旋律のことが多いですし、音を記譜せず「基音から短3度上、その次その音から長7度下、その次その音から減4度上」など音程関係が書かれているものを歌って音にしていくパターンもあります

移調
ー用意された単旋律を初見で移調して歌う、あるいはピアノで弾く・・・既存作品のメロディーで、伴奏つきのものもあります(たぶん伴奏移調奏はピアノ科以外はしなくてもよいかも、あるいはピアノ科でもあまりやらないかも)

聞き取り
ー2声のメロディー(20小節弱程度)を書き取る(2小節×4回ずつ弾いてくれる)・・・これはソルフェージュ用の教材から出されるので既存作品ではないです
ー調性作品内の和声の聞き取り(必ずしも音を五線譜に書かなくてもOK)をしてカデンツの種類を答える・・・後期ロマン派までの既成曲の断片を使っていることが多く、カデンツさえ答えればOKです
ー不協和音を含む5声ぐらいまでの和声の聞き取り(これは全部音を取らなければなりません)だいたい一つの和音を4回ぐらい繰り返し弾いてくれます・・・これは完全に脈絡のない和音を一個ずつ区切って聞かされるだけで、毎回新しい課題が用意され既存の作品ではないです
ーところどころ虫食いになっているオーケストラスコアやアンサンブルスコアを渡され、録音CDを聞いて虫食い部分を書き取って埋める(移調楽器は移調して書きます)・・・ラヴェルなどの色彩感豊かなオーケストラ作品が多めかもしれません
ー無調作品の書き取り・・・ピアノの音を書くことはあまりなく、ウェーベルンなどの弦楽四重奏やフェルドマンのアンサンブル作品などからヴィオラのパートを書き取る、とか、クラリネットのパートを書き取る等

リズム奏
ー2声以上の現代曲(アンサンブルの作品など)を一声部手でうち、残り一声部を歌う・・・場合によって新たにそれ用の課題が作られることなどもありますし、2声に限らず3声等もありえます。3連符と5連符が重なる等の多少複雑なリズムが毎回必ず出てきます


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どうでしょう、少し、違いがわかったでしょうか?
以上はあくまで一例で、CNSMの作曲科などもっとハードなソルフェージュが求められるところもたくさんあります。
4分音の聴音があったり、視唱も選ばれる課題がもっともっとハードなものになることも多々。
フランスはたくさんソルフェージュの本が出ているので、CD付きの課題集などで、力試しをすることもできますよ♪

Profil

辻絢子  (Ayako TSUJI)

Author:辻絢子 (Ayako TSUJI)
フランス在住のソプラノ・ピアニスト・クラヴィシテリウム奏者・音楽学者。パリ・ソルボンヌ大学中世音楽演奏マスター在籍。パリEnsemble Arquémie主催。
中世から現代に至る幅広い時代様式の演奏法と音楽理論を操る歌手、講師として国際的に活躍中。
15世紀以前の作品、とくにアルス・シュブティリオル様式の作品演奏と、13世紀ノートルダム楽派様式の即興演奏を得意とする。
古楽だけではなく現代作品にも関心が高く、日本で大学生&院生だったころは美学芸術学を専攻し音楽に限らずアートや映画、文学など幅広い分野を対象に20世紀以降の作品を研究。
パリでの演奏活動の他、2016年より「中世音楽センター」を立ち上げ、ヨーロッパの現役中世音楽専門家、演奏家と日本の生徒をつなぐ講習会やコンサートを企画している。

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