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フランスのソルフェージュ

久しぶりのブログ更新です。
本日はフランスのソルフェージュについて書こうと思います。
プライベートでばたばたしておりましたが、たまたまフランスへの音楽留学についての相談を受けたこともあって、こちらでのソルフェージュがどんな感じかまとめる機会がありましたので、共有しておこうと思います。

ソルフェージュ嫌いは、日仏問わずたくさんいます。
音楽を演奏するのが好きでも、ソルフェージュや聴音は受験勉強の延長でどうも好きになれないという人も多いのでは?
私はソルフェージュが好き&ソルフェージュ力こそプロの音楽家として最も必要な要素だと思っています。

さて、そんなソルフェージュ好きの私は、どうしてもフランスのソルフェージュ教育がどんなものか見たくて、昨年は別にとらなくてもよいソルフェージュのDEMというディプロムをとってしまったり、別に買わなくてよいさらに上級者向けのソルフェージュ教材を大量に買い込んだり、別に聞かなくてよいCNSM(フランスで一番難しい学校と考えてほぼ間違いない)のソルフェージュの授業がどんなものか卒業者に事細かに尋ねたりしていました。

フランスのソルフェージュ(Formation musicaleという)は日本のそれとは多少違います。
日本だと、例えば音大の受験に必要なソルフェージュを一般的に考えると、単声か2声の旋律調音と4声和声調音などがあり、私がいた学校は入試に和声判別というものがありました。これはならされる和音を聴いて、音をとる必要はないけれど長3和音、とか減3和音、といった和音の種類を答えていきます。
さらにリズム試奏(私が受けた学校は2声でした)があって、さらに伴奏つきの旋律を歌う初見視唱、コールユーブンゲンのアカペラ歌唱、あとは専攻楽器ごとに所見視奏があったような。
入学後の試験でピアノ科は定期的に移調奏やハ音記号初見、スコアリーディング(オーケストラスコアを見てピアノで演奏する)などがあったはずです。

フランスは、書き取りの調音は全体的に苦手な生徒が多い印象がありますが、初見は複合的な課題でしょっちゅうさせています。そして何よりも大きな違いは、既存の音楽作品を課題として使うことが多いこと。
日本ではなるべく誰も知らない旋律を書き取らせたり、歌わせたりしますが、フランスでは、さまざまな既存曲(中世の多声音楽から現代作品まで)を使って勉強します。初見も、なので場合によって知っている曲であることもあります。

実際にどんなことをするのか、例えばですが、一例として、中規模のコンセルヴァトワールのFormation musicaleの最終学年(ディプロム取得)の授業で行われるテストの内容です。


ハ音記号(アルト記号だけでなくソプラノ記号など全種類まざっている)を含む楽譜の初見
ー複数の音部記号×5声のスコアを渡されて、下から順に小節頭の音を言っていく・・・古楽作品の楽譜が使われることが多いですね
ー複数の音部記号が無秩序に交代する単旋律のメロディーを初見視唱する・・・これは全くの新曲の場合がほとんどかと思います
ーところどころに蛍光ペンでマークがついてるオーケストラスコアを渡され、録音CDに合わせて色が付いているところの音名を歌うないしは言う(マークされてる楽器が変わり移調楽器の場合は移調後の音で歌います)・・・マーラーの交響曲やリヒャルト・シュトラウスの交響詩などの断片が使われました

初見視唱
ー32部音符などあらゆる音価とリズムを含んだメロディーを歌う(歌唱不可能な音域の場合はオクターブを変えて歌うかただ音の名前をリズム通りに言うだけでOK)・・・バッハの器楽作品の緩徐楽章やベートーヴェンの緩徐楽章の装飾のついたメロデイやコンチェルトのカデンツァ、現代作品などが使われます
ー小節ごとに拍子が変わる、あるいは5連符や7連符等を含む現代作品のメロディーを歌うあるいは音名をリズム通りに言う・・・バルトーク以降21世紀までの現代作品が課題になります
ー完全無調の音の羅列を歌う・・・これは先生が無調になるよう用意した旋律のことが多いですし、音を記譜せず「基音から短3度上、その次その音から長7度下、その次その音から減4度上」など音程関係が書かれているものを歌って音にしていくパターンもあります

移調
ー用意された単旋律を初見で移調して歌う、あるいはピアノで弾く・・・既存作品のメロディーで、伴奏つきのものもあります(たぶん伴奏移調奏はピアノ科以外はしなくてもよいかも、あるいはピアノ科でもあまりやらないかも)

聞き取り
ー2声のメロディー(20小節弱程度)を書き取る(2小節×4回ずつ弾いてくれる)・・・これはソルフェージュ用の教材から出されるので既存作品ではないです
ー調性作品内の和声の聞き取り(必ずしも音を五線譜に書かなくてもOK)をしてカデンツの種類を答える・・・後期ロマン派までの既成曲の断片を使っていることが多く、カデンツさえ答えればOKです
ー不協和音を含む5声ぐらいまでの和声の聞き取り(これは全部音を取らなければなりません)だいたい一つの和音を4回ぐらい繰り返し弾いてくれます・・・これは完全に脈絡のない和音を一個ずつ区切って聞かされるだけで、毎回新しい課題が用意され既存の作品ではないです
ーところどころ虫食いになっているオーケストラスコアやアンサンブルスコアを渡され、録音CDを聞いて虫食い部分を書き取って埋める(移調楽器は移調して書きます)・・・ラヴェルなどの色彩感豊かなオーケストラ作品が多めかもしれません
ー無調作品の書き取り・・・ピアノの音を書くことはあまりなく、ウェーベルンなどの弦楽四重奏やフェルドマンのアンサンブル作品などからヴィオラのパートを書き取る、とか、クラリネットのパートを書き取る等

リズム奏
ー2声以上の現代曲(アンサンブルの作品など)を一声部手でうち、残り一声部を歌う・・・場合によって新たにそれ用の課題が作られることなどもありますし、2声に限らず3声等もありえます。3連符と5連符が重なる等の多少複雑なリズムが毎回必ず出てきます


-------------------
どうでしょう、少し、違いがわかったでしょうか?
以上はあくまで一例で、CNSMの作曲科などもっとハードなソルフェージュが求められるところもたくさんあります。
4分音の聴音があったり、視唱も選ばれる課題がもっともっとハードなものになることも多々。
フランスはたくさんソルフェージュの本が出ているので、CD付きの課題集などで、力試しをすることもできますよ♪
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コメント

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Re: 感心しています

こんにちは!!
お返事がものおおおおおっすごく遅くなってしまい申し訳ありません!!!!!!!!
実はお引越しをしたりノエルのヴァカンスだったりで(言い訳になってないですねw)ブログを放置していました。
私は中世音楽の研究をメインにしていますが、もしこのブログが何か刺激になるようでしたら、幸いです。
書いてある内容は皆さんに自由に使っていただきたいと思っていたので、どうぞどうぞ、お役に立てる情報があったようでしたら、使ってください。

最近はブログよりもTwitterのほうが盛り上がっているので、もしご興味ありましたら、そちらをご覧いただけると辻の近況がのっております。

フランスでご活躍中とのこと、お住まいはパリですか?
もし機会があったらぜひお会いできたらと思います♪
ではでは。
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Profil

辻絢子  (Ayako TSUJI)

Author:辻絢子 (Ayako TSUJI)
フランス在住のソプラノ・ピアニスト・クラヴィシテリウム奏者・音楽学者。パリ・ソルボンヌ大学中世音楽演奏マスター在籍。パリEnsemble Arquémie主催。
中世から現代に至る幅広い時代様式の演奏法と音楽理論を操る歌手、講師として国際的に活躍中。
15世紀以前の作品、とくにアルス・シュブティリオル様式の作品演奏と、13世紀ノートルダム楽派様式の即興演奏を得意とする。
古楽だけではなく現代作品にも関心が高く、日本で大学生&院生だったころは美学芸術学を専攻し音楽に限らずアートや映画、文学など幅広い分野を対象に20世紀以降の作品を研究。
パリでの演奏活動の他、2016年より「中世音楽センター」を立ち上げ、ヨーロッパの現役中世音楽専門家、演奏家と日本の生徒をつなぐ講習会やコンサートを企画している。

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