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中世音楽研究に役立つリンク集

私が日本で修士号を取った頃(ざっと10年近く前?!)は、Youtubeは今と比べ物にならないほどコンテンツ数が少なく、デジタル化されてる書籍は非常に限られていました。
私の恩師が論文を書いたころはパソコンもなく、修士論文を手書きしていたので、Wordを使ってサクサク文章を書いては添削して修正できる学生たちに「便利になったよねぇ、私たちの時代は大変だったよ」と話していましたが、今はさらに、ネットの普及で信じられないほど研究のスピードが上がっています。
ソルボンヌでも最初の1か月、どの先生の教室に行っても「この分野の研究を進めるのに使えるリンク集と各ページの活用法」が講義の内容のほとんどをしめており、21世紀の研究者に求められる技術はネットの海からいかに研究に使える資料を拾い上げて集められるかだ、と言われます。
もちろん、WikipediaやGoogleの情報をコピペする、なんていうことではなく(これを学問の領域でやったら犯罪行為)、信頼性のあるソースにいかにたどり着くか、ネットを活用していかに研究論文を閲覧するか、といったことをガイダンスで教えられます。

とくに中世の音楽を研究する人にとって、ネットはとても重要です。
例えば13世紀の写本に入っている曲を演奏したいとき、ファクシミリがまだ出版されていなかったり、出版されていても高すぎて手が届かないことがままあります。以前はそこで諦めるか、運が良ければ実際に写本を保管している図書館まで閲覧にいけるかもしれませんが、とにかく大変です。でも現在は、多くの図書館が資料をデジタル化しアクセス可能にしており、正しい検索方法さえしっていれば、資料を自宅のパソコンで見ることができます。
また、探している曲がどの写本に入っているのかわからない、あるいは写本の詳細がわからなくて困っている場合など、私たちの悩みを解決してくれるデータベースも存在します。

日本でこうした中世音楽の研究ツールについて教えている場所があるのかどうか知らないのですが、このページを見る方の中にはリンク集があれば嬉しい、という方もいるかもしれないので、今回は、私が普段使っているサイトなどなど、いくつか主要なものをまとめてみようと思います。

私は普段フランス語で生活しフランス語で研究しているので、基本的にサイトもフランスのものが多いと思いますが、英語のものもあるし、単純な検索であれば特に言語の問題なく使えるものもあります。


写本、楽譜、マニュスクリプトを探す

IMSLP
ご存知の方も多いと思いますが、著作権の切れている作品を中心に大量の楽譜(音源も)が検索できるサイトです。
過去出版された楽譜が多いのですが、バロック、ルネサンスの手稿譜やトランスクリプション、そして一部中世の写本も入っています。たとえば中世をやる人なら必ず一度は演奏するであろうCodex Florenceが全フォリオここでダウンロード可能です。

DIAMM
中世音楽の写本研究に欠かせないサイトDIAMM。無料で登録ができ、中世のポリフォニーを載せたほぼすべての写本を網羅する巨大なデータベースです。もともとポリフォニー音楽のデータベースとして構築されたいきさつからモノディーには弱いですが、アドヴァンスサーチでは曲名や作曲者名から写本を探すことができますし、写本ごとのページには論文等で言及する際の写本の正式名称にあたるコードや、写本に含まれる作品1作品ごとの詳細情報がみれます。外部サイトで写本閲覧可能な場合(図書館資料)にはリンクが付いていますし、このサイト内部で閲覧可能な資料も多数あります。例えばカノニッチ写本はこちらで全ページ閲覧可能です(ただしダウンロード機能がないのでプリントスクリーンでセーヴするしか方法がありません)。

BnF Gallica
ご存知の方も多いかと思いますが、フランス国立図書館運営のデジタルアーカイヴGallica。大量の写本がデジタル化され自由に閲覧できます。もし探している写本がBnFに所蔵されているものなら、高確率でデジタル化されて閲覧可能になっていますし、写本だけでなく出版物も見れ、楽譜の他、音源資料も聞くことができます。PDFなどのファイル形式で保存もしやすいですし、書物も相当数あるので、非常に役立つツールです。

British Library
資料のデジタル化と公開を行っているのはフランスだけではありません。ブリティッシュライブラリー所有の写本も中世音楽の研究には欠かせない資料。こちらも、デジタルアーカイヴで見ることができます。ただしダウンロードができないので、少々不便。

E-Codices
サン・ガル(サンクト・ガレン)の図書館主催のデジタルアーカイヴ。グレゴリオ聖歌を研究する人が避けては通れないサイトです。初期のネウマを記した貴重な写本にアクセスでき、宗教音楽研究に必要な情報を見ることができます。DIAMMはポリフォニーが中心でしたが、ここはモノディーのグレゴリオ聖歌を中心とした重要なサイトです。

Medium
音楽に限らず、中世からルネサンスにかけてのマニュスクリプトを検索できるサイトです。大学図書館などに加盟している人であればお金をかけず資料をGetする道が沢山あるのですが、場合によってそれができないとき、このサイトでは、サイトを通して写本を購入することができます。


お役立ちデータベース


GREGOFACSIMIL
音楽学者ドミニク・ガテが作ったグレゴリオ聖歌のデータベース。先のE-Codicesはサン・ガルの図書館が作ったアーカイヴですが、こちらは国境を越えて聖歌に関するあらゆるマニュスクリプトを網羅した超強力なデータベースです。
特にデータベースExcelファイルこのページの下にあるBase de Manuscritsはネットで閲覧可能な聖歌を集めたデータベースで、時代や立地の異なる写本を網羅しているので、一つの聖歌の異なるヴァージョンを探したい時などに非常に便利。

RISM
中世に関してはまだまだ情報が限られていますが、音楽に関する資料情報をまとめたデータベースです。曲については最初のワンフレーズをトランスクリプトして表示してくれてるものもあります。ちなみにこちらの情報はたまにDIAMMのデータベースにも入っているケースも。

La Trobe
大学が作っている中世音楽のデータベースです。作曲者名その他で検索をすることができ、曲の詳細情報や簡単な参考資料のリストが付いています。DIAMMで万が一見つからない情報があればこちらも試してみて。

Global Chant Database
グレゴリオ聖歌のデータベース・サイト。このサイトの一番の魅力は、「メロディーから聖歌を検索する」という凄い機能があることです。しかも移調に完全対応。ポリフォニーに使われたテノールが聖歌の断片だと思うけどどの曲だったかはっきりしない、そんなときはここに音符を打ち込んで検索。また、聖歌の歌詞ワンフレーズから検索して該当する曲の音符を一覧で表示してくれたりもするので、色々な使い方ができます。

メディエヴァルのリンク集
私がここで紹介したサイトと重複しますが、こちらに使えそうなリンクをまとめたページもあります。(フランス語)


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ご紹介したのは、よく使うサイトだけですが、もちろんフランス語以外のほかの言語に精通している方ならもっとほかにも検索方法があるでしょう。
中世ルネサンスの音楽をやる人は、どんなに良いトランスクリプションを使っていたとしても元のソースを見ないとわからないことが必ずあります。これらのリンクは音楽学者だけではなく、この時代の音楽をやるなら一般の演奏家の皆さんも絶対に必要な情報だと思うので、ぜひ有効に使っていただければと思います。
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Profil

辻絢子  (Ayako TSUJI)

Author:辻絢子 (Ayako TSUJI)
フランス在住のソプラノ・ピアニスト・クラヴィシテリウム奏者・音楽学者。パリ・ソルボンヌ大学中世音楽演奏マスター在籍。パリEnsemble Arquémie主催。
中世から現代に至る幅広い時代様式の演奏法と音楽理論を操る歌手、講師として国際的に活躍中。
15世紀以前の作品、とくにアルス・シュブティリオル様式の作品演奏と、13世紀ノートルダム楽派様式の即興演奏を得意とする。
古楽だけではなく現代作品にも関心が高く、日本で大学生&院生だったころは美学芸術学を専攻し音楽に限らずアートや映画、文学など幅広い分野を対象に20世紀以降の作品を研究。
パリでの演奏活動の他、2016年より「中世音楽センター」を立ち上げ、ヨーロッパの現役中世音楽専門家、演奏家と日本の生徒をつなぐ講習会やコンサートを企画している。

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